AIは、人間の思考や心の動きを理解できるのか?

AIは、人間の思考や心の動きを理解できるのか?

AIにおける言語認識の概念

少しざっくりした言い方かもしれないが、AIというのは「物事の関係性を数値に置き換えて処理する仕組み」だと言える。

たとえば、「1+1=2」という式を考えてみよう。

人間の場合、「+」という記号の意味を理解しており、ルールに従って論理的に「2」という答えを導き出す。

けれどもAIは、少し違うやり方で答えを出す。AIは「1+1=」というテキストを見たとき、「過去のデータでは、このあとに“2”が続く確率が高い」と判断して「2」と出力するのだ。つまりAIは、計算しているわけではなく、「もっともらしい答えを予測している」にすぎない。

この「確率的な予測」という仕組みがAIの面白いところであり、同時に弱点でもある。学習データの中に偏りや誤りがあると、「1+1=3」といった間違った答えを出すこともある。(実際の処理においては、そういった数学的ルールも学習しており、条件によってこれまでの計算機のような機能を使えるようになっているので、計算自体を間違う事は少ない)

こうした誤りは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる。

AIが嘘をついているように見えるが、実際には「確率的にそうだと思った結果」がたまたま間違っているだけだ。人間でいえば、「思い込み」や「勘違い」に近い現象かもしれない。

もちろん、AIの根本は0と1でできたデジタルの世界にある。そこには本来、あいまいさなどない。それでも、その上で曖昧な表現やゆらぎを生み出せるというのは、ある意味で画期的なことだろう。

機械が、人間のように「確信がないまま、それっぽいことを言う」ようになったというのは、少し不思議で、少し恐ろしい話でもある。

人間における言語認識の概念

ただ、人間の理解もまた、絶対的な定義ではなく、関係の中で成り立っている

たとえば「マウス」という言葉を思い浮かべてみよう。

私たちはそれを「黒くてボタンが3つある小さな装置」として覚えているわけではない。

「コンピューターにつないでポインターを動かす道具」といった、使い方や文脈の中で理解している。

だから、赤いマウスでも青いマウスでも「マウス」として認識できるのだ。

認識の共通点から推測される事

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そう考えると、人間とAIはまったく別物のようでいて、案外似た方法で世界を理解しているのかもしれない。

人間が関係の中で意味を作り出すように、AIもまたデータの関係性から世界を「学び取っている」。実際の現実もまた、そういった関係性の現象におけるダイナミズムすぎず、絶対的な存在というのもは無いという思想もある。

それを元に考えれば、現象としてて現れるAIの生成物も人間の生成物もあまり違いはないと言えるかもしれない。よって、AIが我々の思想や、感情までもシュミレーションできると考えることも可能だ。(この現実世界そのものがシュミレーションであるというシュミレーション仮説もあることだし)

それは希望でもあり、少しの不安でもある——そんな時代を、私たちはいま生きている

 

注意:AIの進化は日進月歩のために、これら記事においては情報が古い場合もありますのでご注意ください。