AGIってなに?
AGI(エー・ジー・アイ)とは、「人間のように、自律的にいろいろなことを考え、学習できるAI」のことです。「汎用人工知能(はんようじんこうちのう)」とも呼ばれます。
今のAIは、翻訳なら翻訳、将棋なら将棋のように、ひとつのことだけが得意な「専門家AI」です。
それに対してAGIは、まるでSF映画に出てくるロボットのように、教えられていないことでも自分で考えたり、新しいことを覚えたり、様々な仕事をこなしたりできる、何でも屋さんのようなAIを目指しています。
今のAIと何が違うの?
一番の違いは「応用力」です。
-
今のAI(専門家AI)
-
将棋で人間に勝つAIに「今日の晩ごはん、何がいいかな?」と聞いても答えられません。
-
車の自動運転をするAIは、料理はできません。
-
得意なことはすごいけど、それ以外は何もできないのが特徴です。
-
-
AGI(何でも屋さんAI)
-
晩ごはんの相談に乗ってくれて、冷蔵庫の中身からレシピを提案してくれます。
-
そのまま料理の仕方を調べたり、明日の買い物をリストアップしてくれたりします。
-
人間のように、様々な知識や経験を組み合わせて、新しい問題に対応できます。
-
AGIが実現したらどうなるの?
もしAGIが完成したら、私たちの生活は大きく変わるかもしれません。
-
究極のアシスタント: 仕事のアイディア出しから、旅行の計画、日々の悩み相談まで、最高のパートナーになってくれます。
- 社会問題の解決: 複雑な社会問題や科学の難問を、人間と協力して解決してくれるかもしれません。
AGI実現の可能性は? 専門家でも意見が分かれる「究極の問い」
「人間のように何でもできるAGIは、いつ実現するの?」という問いに対する答えは、実は専門家の間でも大きく意見が分かれています。まるで未来予言のように、「もうすぐだ!」という声もあれば、「いや、まだまだ先だ」という声もあり、現時点では誰も正確な答えを知りません。
ここでは、それぞれの主な意見をのぞいてみましょう。
「もうすぐ実現する!」という意見
最近のAI、特にChatGPTなどの急速な進化を見て、「このままいけばAGIはもうすぐだ」と考える専門家が増えています。
-
どうしてそう思うの?
-
AIが文章を作ったり、絵を描いたり、プログラムを書いたりと、これまで人間にしかできないと思われていた領域で、驚くべきスピードで成長しているからです。
-
この技術の進化のスピードを根拠に、「今の延長線上でAGIに到達できる」と考えています。
-
-
いつ頃と考えているの?
-
AI開発をリードするOpenAI社のCEOサム・アルトマン氏や、AI用半導体で世界をリードするNVIDIA社のCEOジェンスン・フアン氏などは、「数年〜10年以内」という非常に早い実現を予測しています。
-
「2029年にはAIが人間を超える」と予測している未来学者レイ・カーツワイル氏のような有名な専門家もいます。
-
「いや、まだまだ先(または不可能かも?)」という意見
一方で、「今のAIとAGIの間には、とてつもなく大きな壁がある」と考える慎重な専門家もたくさんいます。
-
どうしてそう思うの?
-
① 本当の意味で「理解」していない: 今のAIは、大量のデータを統計的に処理して、それらしい答えを出しているに過ぎません。人間のように「言葉の意味」や「物事の因果関係」を本当に理解しているわけではない、という指摘です。
-
② 「常識」や「身体」がない: 私たちは「火は熱い」「空は青い」といった当たり前の常識を、実世界での経験を通して学んでいます。AIには身体がなく、現実世界での経験がないため、こうした感覚的な理解ができません。
-
③ 「意識」という最大の謎: 「夕日を見てきれいだと感じる」といった、人間が持つ主観的な「意識」や「感情」を、どうすればプログラムで生み出せるのか、全くわかっていません。
-
-
いつ頃と考えているの?
-
多くのAI研究者の予測を平均すると、「2040年〜2060年頃」という見方が多いようです。
-
中には「今の技術とは全く違う、画期的な発明(ブレークスルー)がなければ不可能だ」と考え、100年以上先か、あるいは永遠に実現しないと考える人もいます。
-
補足説明
上記の説明だけでは、すでにある程度現在でも実現できていますが、 AIとAGIと本質的な違いはその自立性にあると言えます。
つまり、人間が意識を持ち、自律的に思考するることで、個性を作り出し、誰かの命令ではなく、自ら判断して行動するという行為そのものを行えるのがAGIだと乱暴に定義することもできるでしょう。
それこそターミネーターやマトリックスなどの映画の中で描かれていた機械対人間の対立。人工知能対人類の戦争・・・そういったものにつながる可能性を持っているのがAGIでもあります。






